痔のはなし

一口に痔と言っても・・・
「痔」と一口に言われている肛門疾患にもいろいろあります。
・痔核(イボ痔、脱肛)
・痔瘻、肛門周囲膿瘍
・裂肛(切れ痔)
以上3つが、主な疾患です。

1、痔核・脱肛

肛門部には、血管が網の目状に集まっており、人間が直立歩行しやすいようになった代償として、ただでさえ血液がたまりやすい状態にあります。ここへ便秘などの影響が加わると、うっ血が強くなって血管が膨らんできます。これが「痔核(イボ痔)」です。
痔核には中の方にできる「内痔核」と、皮膚に近い所にできる「外痔核」の2種類があり、内痔核は出血が主な症状で、外痔核は肛門の周りに痛みを伴ったイボとして現れます。
内痔核が排便の時、肛門外へ脱出するようになったものを「脱肛」といい、脱肛になると手術を要することが多いです。

痔核 大腸肛門病学会ホームページへ

2、痔瘻

直腸と肛門の境にある肛門小窩という穴に傷がつき、そこから細菌が入って化膿したものを「肛門周囲膿瘍」といい、自然に破れるか、切開して膿を出した後、トンネルになったものを「痔瘻」といいます。簡単なものから複雑なものまでいろいろとありますが、痔瘻は手術しなければ治りません。10年以上も放置しておくと癌になることもあります。

痔瘻 大腸肛門病学会ホームページへ

3、裂肛

硬い便や太い便が通過する時、肛門を傷つけてできたものが「裂肛」で、激しい痛みや出血を伴います。何度も繰り返していると深い漬瘍になり、治りにくくなります。

痔のポスターA4

裂肛 大腸肛門病学会ホームページへ

・その他
他に多い疾患としては肛門周囲の皮膚病があります。原因は真菌(水虫の仲間)など色々ですが、治りにくく気長な治療を要します。排便後の洗浄はかなり有効です。

肛門周囲炎 大腸肛門病学会ホームページへ

※しろうと療法は危険です※

大腸・直腸癌の症状は痔とよく似ており、うっかり痔だろうと放置しておくと大変なことになります。大腸・直腸癌は比較的簡単な方法で検査でき、早期の癌は手術せずに内視鏡で摘出することも可能です。また早期の癌は全く無症状の事も多く、40歳以上の方は定期的に内視鏡検査を受けられることをお勧めします。

日常生活の注意

便秘や下痢をしないように
便通を整えることが最良の予防であり治療です。ほとんどの便秘は習慣性のもので、良い排便習慣をつけるには、便意を催したらすぐにトイレに行くことが大切です。ガマンしていると、だんだんに腸が鈍くなり便意を感じなくなってきます。

肛門を清潔に
排便後、温水で洗うのが一番です。できない時でも、軟らかい紙を使うようにし、常に清潔に保つようにしましょう。