アイホンナースコール事件に勝訴

2002年4月15日

このたび、4月5日、広島高等裁判所松江支部で、アイホン株式会社、日本無線株式会社に対して、NCX型ナースコールシステム機器の欠陥を認める判決が言い渡されました。

私たちが主張していたナースコール機器の欠陥を全面的に認めた判決で一審判決より欠陥の内容も踏み込み、又損害賠償を認め、共に前進した内容でした。欠陥は制御機の終話システムの欠陥による会話の不能、発熱によるシステムダウン(患者様が呼び出してもナースコールが鳴らない状態が頻発した)、両方とも認められました。
機器には素人の私たちが機械の欠陥を立証するのは大変なことで、皆様のご協力がなければとてもここまでやってこられなかったことと思います。
しかし、他方でここまで頑張ってきた甲斐もあり、初志貫徹できたことに満足しています。
平成6年10月に提訴以来、実に7年にわたる裁判でしたが、皆様のご協力を頂きましてここまでたどり着けましたことを心より感謝し御礼申し上げます。

NHKテレビ放映「しまね845」/ 平成14年4月5日
「ナースコール故障で賠償命じる」

患者が看護婦を呼ぶナースコールの機械がこわれて診療所の信用を低下させたとして出雲市の診療所がナースコールのメーカーに損害賠償を求めていた裁判の控訴審で広島高等裁判所松江支部はメーカー2社に対し、あわせて110万円を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、出雲市の診療所、出雲中央クリニックで平成6年6月に設置したナースコールが正しく動かずメーカーが修理しましたが、再び故障して別のメーカーの機械を設置しなければならなくなった上、結果的に診療所の信用を低下させたとして、このナースコールを製造したアイホンと日本無線の2つの会社に対しておよそ3,000万円の支払いを求めたものです。
1審で松江地方裁判所は診療所の訴えを退けましたが、診療所側が1,000万円に減額して控訴していました。
今日広島高等裁判所松江支部で言い渡された控訴審の判決で宮本定雄裁判長は機械の故障が入院中の患者に不安感を与え診療所の信用を低下させたなどとしてメーカー2社に対して110万円を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
判決に対し出雲中央クリニックは「メーカー側の過失が認められたことは評価したい」と話しています。また、メーカー側は「判決内容をよく読んでいないので何も言えない」と話していました。

島根日日新聞社 / 4月6日
「メーカー側に110万円損賠命じる」
出雲中央クリニックナースコール訴訟 広島高裁松江支部

病院内のナースコールが正常に作動せず、患者の生命に危険が及んだとして、出雲中央クリニック出雲市塩冶町、宮脇哲丸院長)がメーカーのアイホン(本社・名古屋市熱田区)と日本無線(本社・東京都三鷹市)を相手取り、約1,000万円の損害賠償を求めた控訴審判決が5日、広島高裁松江支部であった。
宮本定雄裁判長は事故発生が「医療機関としての信用を低下させた」として、「信用侵害」を認定。訴えを棄却した一審判決を覆し、被告側に計110万円の支払いを命じた。 判決は機器関連で発熱し不具合が生じたのは、「未使用の接続線がパズル性ノイズに影響したためで、予想できる」と被告側の過失を指摘。「機器の不具合で患者に不安を感じさせたのは明らかで、医療機関としての信用が低下した」として、原告の訴えを一部認めた。
同クリニックが購入した携帯式のナースコールをめぐっては、1994年、呼び出し音が鳴らないなど誤作動。同クリニック側は、患者の生命に危険が及んだとして、同システムを開発販売したアイホンと無線装置を製造した日本無線に約3,300万円の損賠を求め提訴した。一昨年に松江地裁で訴えが棄却されたのを受け、一審を不服として、1,000万円の損害賠償を求めて控訴していた。
寺田慈美同クリニック事務長は、判決について「欠陥が認められたことには満足している」と評価。「人の命に関わる機器を製造する企業の責任、姿勢について自覚してもらいたかった」と話した。
被告側の弁護人は「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。

毎日新聞社 / 4月6日
2メーカーに賠償命令 ナースコール誤作動で診療所に110万円
高裁松江支部判決

広島高裁松江支部は5日病院のナースコールのコンピュータシステムが正常に作動しなかったのはメーカー側に過失があったとして、システムの開発などをした通信機器メーカー、アイホン(本社・名古屋市)と日本無線(同・東京都)に対し、出雲中央クリニック(出雲市塩冶町、宮脇哲丸院長)へ慰謝料など110万円を支払うよう命じた。一審松江地裁は病院側の請求を棄却していた。
宮本定雄裁判長は一審に続きメーカー側に製品の不具合を発生させた過失を一部認定したうえで、「不具合で医療機関の信用を低下させた」と述べた。

読売新聞社 / 4月6日
一審判決変更、2社に110万円の支払い命ずる
診療所の賠償請求訴訟

出雲市塩冶町の診療所「出雲中央クリニック」(宮脇哲丸院長)で1994年に設置したナースコールが正常に作動せず、患者の生命にかかわるトラブルがあったとして、診療所側が製造会社などに1,000万円の損害賠償を求めた控訴審の判決言い渡しが5日、広島高裁松江支部であった。
宮本定雄裁判長は「機械の不都合で入院患者に不安が生じ、診療所の信用を低下させた」と判断。診療所の訴えを棄却した一審判決を変更し、通信機器メーカー「アイホン」(名古屋市熱田区)と、部品を供給した「日本無線」(東京都三鷹市)に計110万円の支払いを命じた。

朝日新聞社 / 4月6日
メーカーに損害賠償命令 ナースコール訴訟で高裁支部

ナースコールの誤作動が相次ぎ病院の信用が傷ついたとして、出雲市内の私立病院「出雲中央クリニック」がメーカー2社に1,000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、広島高裁松江支部であった。
宮本定雄裁判長はメーカーの過失を一部認めたうえで「入院患者に不安感を生じさせ、医療機関の信用を低下させた」として、病院の訴えを棄却した一審判決を変更、メーカー側に計110万円の支払いを命じた。
判決によると、同病院は94年6月、アイホン(本社・名古屋市)が開発・販売、日本無線(同・東京都三鷹市)が無線系統部品を製造したナースコールシステムを導入。しかし、入院患者がボタンを押したのに看護師の携帯する子機が鳴らないなど誤作動が起きた。
同病院は94年末、メーカー側に約3,400万円の損害賠償を求めて提訴。昨年4月、一審の松江地裁は「機器に欠陥があったとは言えない」と訴えを棄却した。

同病院の宮脇哲丸理事長(48)は「メーカーの過失を認めた判決に満足している。賠償額には不満はない」と話した。

日本無線の秋山千秋広報課長は「判決内容を見ないとコメントできない」と話した。

中国新聞 / 4月6日
被告の無線製造元に110万円支払い命令
高裁松江判決

出雲市の出雲中央クリニック(宮脇哲丸院長)が、無線ナースコールに不具合があったとして製造元のアイホン(名古屋市)らに計約1,000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日広島高裁松江支部(宮本定雄裁判長)であった。
宮本裁判長は、訴えを棄却した一審判決を一部変更し、被告側に計約110万円の支払いを命じた。  
判決では、制御機が発熱して起こるシステムダウンについてアイホンの過失を認め、過失なしとした一審判決を変更。入院患者に不安を生じさせたとして請求の一部を認めた。原告は、一審で3,400万円を請求したが、控訴審で請求金額を変更した。

産経新聞 / 4月6日
110万円支払いを出雲の病院が提訴 医療機器会社に判決

ナースコールシステムの故障が病院業務に影響を与えたとして、出雲中央クリニック(出雲市塩冶町、宮脇哲丸院長)が、機器を製造したアイホン(名古屋市)と日本無線(東京都)に1,000万円の損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決が5日広島高裁松江支部であった。
宮本定雄裁判長は、訴えを棄却した一審判決を変更し、110万円を支払うよう命じた。  
宮本裁判長はメーカーの過失を認定、入院患者に不安を与えた慰謝料などの支払いを認めた。
新しい機器の購入費用などは「不具合との因果関係が認められない」として退けた。

山陰中央新報 / 4月6日
メーカー側に賠償命令 ナースコール不具合 信用侵害認める
広島高裁

ナースコールの不具合で機器の買い替えが生じたとして、出雲市塩冶町の医療社団法人「出雲中央クリニック」が、名古屋市のメーカー「アイホン」など2社を相手取り1,000万円の損害賠償などを求めた控訴審判決が5日、広島高裁松江支部であり、宮本定雄裁判長は、原告の請求を棄却し原判決を一部変更。メーカー側に110万円を支払うよう命じた。
訴状などによると、出雲中央クリニックが1994年にアイホンのナースコールを導入。携帯端末が患者の呼び出しに応じないなどの不具合が生じたため、他社製の機器に交換。その間、業務へ支障が出たとしていた。
宮本裁判長は、原告の請求を棄却した松江地裁の原判決を変更。
「不具合により、入院患者に不安感を生じさせたことは明らか」として、機器の不具合が診療所の信用を侵害したことを認めた。
しかし、同診療所が主に求めていた機器の変更に伴う費用賠償では「メーカー側の原因究明調査に協力的ではなく、他社との交換を前提にした費用」とし、不具合との因果関係を認めなかった。
出雲中央クリニックの宮脇哲丸院長は「主張が一部認められ評価している」と話した。
一方、アイホンは「判決文を確認してから対応を決めたい」としている。